液体構造と熱物性の研究

微小重力環境が提供する特殊な環境を利用して、液体状態の熱物性と液体構造の関係を明らかにする研究を進めています。

静電浮遊炉における熱物性計測

静電浮遊法により浮遊溶融した試料から様々な熱物性が計測可能です。

密度

 密度は、浮遊した試料液滴が、ほぼ真球の形状をとることを利用して試料の画像から体積を求め、質量を体積で割って求めます。実験中に記録したビデオ画像から静止画像を切り出し、コンピュータの画像解析により半径を算出します。

定圧比熱

 定圧比熱は、高真空環境で浮遊した試料からの熱の放出が輻射のみで行われることを利用して、放射温度計の温度データから計算します。
温度-時間データの a 点から c 点の dT/dt を計算して上式から Cp / εT を計算します。Cp を出すには、 εT が必要になります(測定方法を研究中)。

表面張力・粘性係数

 左図(a)のような振動を試料液滴に励起し、その表面張力及び粘性係数は、周波数及び振動の減衰の様子から求めます。
 » 試料の液滴が振動する様子(MPEG再生)
 左図(b)は、液滴振動中の試料の鉛直方向の直径の時間変化を測定し FFT にかけたものです。FFT のピークから共振周波数 (ω) が、直径の時間変化から減衰係数 (τ)が測定できます。表面張力 γ 及び、粘性係数 η は、下記の式から計算します。表面張力の算出にはこの基本式に加えて表面電荷の影響、重力による変形及び試料の回転について補正を加えています。

粘性係数測定の改良

 測定を進めている中、試料を安定して浮遊させるための位置制御が、粘性係数の測定に影響を与えていることが分かってきました。図のように、位置制御の制御帯域が液滴振動の周波数とオーバーラップしていると、位置制御によって液滴振動が抑制されたり促進されたりしてしまいました。制御帯域を狭めて影響を最低限にして再度測定をしました。

再測定した試料:Ti,Ni,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Tb,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt
※再測定データは 金属元素融体の熱物性の計測結果 に掲載

左図(a):従来の測定(浮遊のための制御帯域が360Hz)
液滴振動の周波数とかぶっている。
左図(b):改良後の測定(制御帯域を120Hzまで狭めて測定)
液滴振動への影響を低減。但し、試料は落下しやすくなった・・・。

【 静電浮遊炉 】+【 X 線  】

 2004年から、兵庫県にある放射光施設( SPring-8 )の各種ビームラインを用いた静電浮遊実験を実施しています。

  • 実験場所

    主に実験を行っているのは、BL04B02と言うビームラインです。( p1 / 8 )

  • 加熱用レーザー

    初期には、加熱用のレーザーを輸送して、セットアップしました。(現在は、SPring-8常設の加熱レーザーがあります。)( p2 / 8 )

  • 静電浮遊炉チャンバー

    ビームラインの回折計に取り付けた静電浮遊炉チャンバー( p3 / 8 )

  • 分解清掃

    静電浮遊炉チャンバーを清掃のため、分解しているところです。( p4 / 8 )

  • チャンバーと回析計の取付

    チャンバーと回折計の取り付けが完了したところ。( p5 / 8 )

  • チャンバーと回析計の取付2

    チャンバーと回折計の取り付けが完了したところ。ビーム入射側から撮影( p6 / 8 )

  • チャンバーと回析計の取付3

    チャンバーと回折計の取り付けが完了したところ。回折計のディテクターを動かしてもらったので、装置が見やすい状態になっています。( p7 / 8 )

  • 実験中

    実験中。浮遊させた試料をカメラで撮影しています。( p8 / 8 )


【 静電浮遊炉 】+【 中性子散乱 】

 日本原子力研究所との共同研究により、東海研究所の JRR-3M内の中性子散乱実験施設と静電浮遊炉とを組み合わせて、装置の機能確認及びアルミナやジルコニウムの実験を実施しました。

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リンク石川毅彦
JAXA 宇宙科学研究所(ISAS)
学際科学研究系 教授

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